桂さんの「宿替え」
それから兄さんとお酒をいただきまして二畳の間で二人でゴロッと寝たんです。夜半に
フッと目を醒ましますと、兄さん、起きて座ってはりますねん。右手に電灯がわりのロー
ソク持たはって。何してはんのやろと寝床の中から、前の壁を見ますと壁面にびっしり
蚊が止まっくますねん。蚊も雨にぬれるのはかなわんのでしょうか。他の部屋は蚊もい
られへんほど雨がもってたんでしょうね。その壁一面に真っ黒に止まってる蚊を、ローソ
クの火で一匹ずつ焼き殺しながらなんやプツブツ言うてはります。何を言うてはんのか
耳をすましますと、「なア、わしゃこんな遠い所まで来てなア、こんなことしようとは思
わなんだ・・・」。嘆息ひとつついては蚊を一匹、ジューッ。また嘆息をついては蚊をジュ
ーッ。
「桂文紅蚊焼き噺」という怪談噺でございます。
あーこわっ!

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